某有名投資家のおすすめ書籍として紹介されていたことをきっかけに読み始めた。
株そのものに興味があるというよりも、日々ブログや経済ニュースで目にする用語を理解したかった。
全体として初学者にもわかりやすく、経済学の知見とそれに基づく著者の意見が記述されている。
ただ、数学が苦手な人への配慮から、数式による説明をすべてスキップしており、意見の根拠となる知見の導出過程が具体的にわかりづらい。
そのため、捻くれた読み方をすると「根拠の無い理論に踊らされることを警告しつつ、根拠の無い手法を提案する本」としてみなされかねない。
まあこの辺を言い出すと、経済学の教科書や学術論文以外の(またはこれらを含む)すべてを疑わなければならなくなり、きりがないのかもしれないけれど……
数式による記述がないメリットとして、読み物としてとても読みやすく、(内容を無根拠に信じるという前提にたてば)投資に対する明快なアドバイスが書かれており、思わず実践してみたくなるほど興味深い。
また、確定拠出型年金に対するある種の最適戦略を与えており、就職後役立つ知識が得られたと思う。
以前、新保の『金融商品とどうつき合うか―仕組みとリスク (岩波新書)』を読んだが、重複する箇所も多少あった。 比較的原理から説明してくれる本が『金融商品と〜』であり、より実践的なアドバイスが書かれているのが本書ということになると思う。