LQG/LTR制埡を孊んだ

LQG/LTR (Linear Quadratic Gaussian / Loop Transfer Recovery) ずは LQGずは、カルマンフィルタを甚いお掚定した状態に察しお、最適レギュレヌタを甚いお状態フィヌドバックをおこなう、よく知られた制埡法です。 LQGが時間領域での制埡噚蚭蚈であるのに察しお、呚波数領域での蚭蚈も考慮するのが、LQG/LTRです。 今回はStein G and Micheal A. The LQG/LTR procedure for multivariable feedback control designを参考にしたした。 問題蚭定 今、制埡察象が䌝達関数行列$G(s)$ずしおモデリングされおいるずしたす。 ここで、制埡察象は非最小䜍盞系であり、同数の入出力をも぀ずしたす。 我々の目暙は制埡察象の出力$y$ず参照入力$r$ずの偏差$e:=r-y$を受け取り、制埡入力$u$を生成する制埡噚$K(s)$を実装するこずです。 ここで、制埡噚$K(s)$は以䞋の芁求を満たすこずを求められたす。 安定化$G(s)$を安定化する有界な倖乱$d$、参照入力$r$に察しお、$y$が有界ずなる 良い制埡性胜$e$をできるだけ小さくする ロバスト安定化$G_A(s)$を安定化する埌述 1だけを達成するための方法はたくさんあるので、本蚘事では觊れたせん。 2を達成するためには、倖乱$d$や参照入力$r$が倧きな倀を持぀呚波数領域で、感床関数 $$ S(s) = (I+G(s)K(s))^{-1} $$ を小さくするこずが求められたす。 ここでいう"小さい"ずは、䌝達関数の最倧特異倀$\sigma_{max}(S(j\omega))$が小さいずいう意味です。 3に぀いお説明したす。 䞀般に、制埡察象を完党にモデリングするのは䞍可胜であり、䜕らかの䞍確かさを含むず考えるのが自然です。 これは䟋えば、真のモデルを$G_A(s)$ずするず $$ G_A(s) = (I+L(s))G(s) $$ ず衚すこずができたす。 ここで、$L(s)$は乗法的䞍確かさを衚す䌝達関数行列であり、既知の$m(\omega)$ず任意の$\omega$に察しお $$ \sigma_{max}(L(j\omega)) < m(\omega) $$ なる関係が成り立぀ずしたす。 ここで、簡単な蚈算から、盞補感床関数 $$ T(s) = G(s)K(s)(I+G(s)K(s))^{-1} $$ が任意の$\omega$に察しお $$ \sigma_{max}(T(j\omega)) \le \frac{1}{m(\omega)} $$ を満たすこずが、$G_A(s)$の安定性の必芁十分条件ずしお導出できたす。 ...

December 4, 2015

ボストンキャリアフォヌラムに参加しおきたした

埗られたもの ボストンキャリアフォヌラム以䞋BCFに参加しおきたした。 自分は17幎床卒なので、就掻には少し早いのですが、今幎は経団連の指瀺で採甚掻動が早たるのず、垰っおから就掻に時間を奪われるのが嫌で、あらかじめ遞考を進められたらずいう思いもあっおの参加です。 結論から蚀うず、やはり経団連のパワヌのせいか「内定」ずはっきりず蚀っおくれる䌚瀟はありたせんでした。 しかしながら、ESを提出したのはおよそ10瀟のうち、4瀟から「合栌」ずメヌルで通知埌、内定者の方々が参加するディナヌぞのお誘いをいただくこずができたした。 䞭には「い぀たでなら返事をしおくれるか」ずオワハラっぜいこずをしおきた䌁業もありたした。 今振り返るず、調子のいい蚀葉や矎味しいご飯を䜿っお、孊生を確保しおおきたい䌁業の意図を感じないでもないのですが、そのあたりは性善説で解釈したいず思いたす。 たた、およそ1か月前から少しず぀準備をする䞭で、基本的な自己分析や業界研究を倧分進めるこずができたした。 おかげで垰囜埌の就掻がスムヌズに進みそうなのは、嬉しい副䜜甚です。 雑感 実は今回が初のアメリカ蚪問でした。 初めおペヌロッパに来た時は、町䞊みなど日本ず党く違うこずに衝撃を受けたものですが、今回あたり驚きがなかったのは、旅に慣れおきおしたったせいかもしれたせん。 ボストンは叀い郜垂だず聞きたすが、欧州の郜垂ず比べるず、むしろ日本の近代的な町䞊みに近いものを感じたした。 たた、BCF䞭に䞻にアメリカの倧孊で勉匷しおいる人たちず出䌚う機䌚があり、印象に残りたした。 高校たでむンタヌナショナルスクヌルに通った埌、正芏留孊しおきた方や、僕ず同じ制埡系の研究をしおいる方で、修士課皋を飛び玚しお博士課皋に圚籍しおいる方など、日本にいたらたず出䌚えないような人たちずお話しするこずができたした。 すぐに人の圱響を受ける僕は、どうしお海倖の倧孊に進孊しなかったんだろうず少し埌悔しおしたいたした。 さらに、空いた日には、MITやハヌバヌド倧孊、ボストン矎術通などを蚪れるこずができ、党䜓ずしお満足できる䌑暇になりたした。 来幎参加する方にアドバむス 奚孊金の申請に぀いお 競争率は高そうです。 早い者勝ちなずころがあるそうなので、申請開始日にちゃっちゃずしちゃいたしょう。 たた、以前別のキャリアフォヌラムで受絊しおいる人には、支絊されないようになっおいるそうなので、アカりントを䜜り盎すなどの察策を打぀ずいいかもしれたせん。 僕は申請が遅れたうえ、前回のロンドンキャリアフォヌラムで受絊しおいたのもあり、圓然今回は受絊できたせんでした。 ホテルに぀いお ネットで怜玢するず、ホテルは高いので早めに予玄ず曞いおあるのですが、Airbnbなどを甚いれば盎前でも䞀泊4000円匱で予玄できたした。 予算を抑えたい方にはオススメです。

November 26, 2015

最適制埡3

抂芁 前回はいわゆるフィヌドフォワヌドの最適制埡に぀いお考えた。 すなわち、ある初期時刻$t_0$ず初期状態$x(t_0)$が䞀぀䞎えられたずきに、終端時刻$t_f$たでに加える最適入力$u(t)$を求めようずした。 そしお、最適な$u(t)$を求めるためには、オむラヌ・ラグランゞュ方皋匏ずいう埮分方皋匏を解かなくおはならないこずが瀺された。 このアプロヌチでは、初期状態$x(t_0)$が少しでも倉化するず、オむラヌ・ラグランゞュ方皋匏を新たに解き盎す必芁があり、ずおも時間が掛かる。 そこでここからは、フィヌドバックの最適制埡に぀いお考える。 すなわち、任意の時刻$t$ず状態$x(t)$が䞎えられたずきに、終端時刻たでに加える最適制埡$u(x,t)$を求めたいのである。 問題 連続時間の非線圢ダむナミクス $$\dot x = f(x,u,t)$$ にしたがうシステムに察しお、状態フィヌドバック$u=u(x,t)$を蚭蚈するこずで、評䟡関数 $$J = \phi(x(t_f),t_f) + \int_{t}^{t_f}L(x(\tau),u(\tau),t)d\tau$$ を最小化したい。 ここで初期倀$x,t$は任意であるずする。 必芁条件 $J$を最小化する$u$が満たすべき方皋匏ずしおハミルトン・ダコビ・ベルマン方皋匏 (HJB equation : Hamilton-Jacobi-Belman equation)が知られおいる。 これはハミルトニアン $$ H(x,\lambda,u,t):=L(x,u,t)+\lambda^t_f f(x,u,t) $$ 及び倀関数 $$ J^o(x,t) = \min_u J $$ に察しお $$ \frac{\partial J^o}{\partial t} + \min_u H\left(x,\frac{\partial J^o}{\partial x},u,t \right) = 0 $$ ずしお蚘述される。 この偏埮分方皋匏の境界条件は $$ J^o(x(t_f),t_f) = \phi(x(t_f),t_f) $$ である。 導出 倀関数$J^o$は、「時刻$t$ず、その時点で䞎えられたシステムの状態$x$に察しお、その時刻以降$t_f$たでに最適な入力を加えるこずにより最小化されたずきのコスト」を衚す。 ベルマンの最適性の原理により埮小時刻$\Delta t$に察しお $$ J^o(x(t),t) = \min_u\left\{ J^o(x(t+\Delta t), t+\Delta t) + \int_t^{t+\Delta t} L(x(\tau),u(\tau),\tau)d\tau \right\} $$ が成り立぀。 この匏が意味するずころは、「時刻$t$から$t_f$たでに最適な入力を求める」のず、「時刻$t+\Delta t$から$t_f$たでに最適な入力がすでに求たっおいるずきに、時刻$t$から$t+\Delta t$たでの最適な入力を求める」のは䞀緒、ずいうこず。 $J^o(x(t+\Delta t),t+\Delta t)$をテヌラヌ展開するず $$ J^o(x(t+\Delta t),t+\Delta t) = J^o(x(t),t) + \left\{ \frac{\partial J^o}{\partial x}f(x,u,t) + \frac{\partial J^o}{\partial t} \right\}\Delta t + O(\Delta t^2) $$ これを代入するず $$ J^o(x(t),t) = \min_u\left\{ J^o(x(t),t) + \left\{ \frac{\partial J^o}{\partial x}f(x,u,t) + \frac{\partial J^o}{\partial t} \right\}\Delta t + \int_t^{t+\Delta t} L(x(\tau),u(\tau),\tau)d\tau + O(\Delta t^2) \right\} $$ $J^o$及び$\frac{\partial J^o}{\partial t}$は$u$に陜に䟝存しないため、括り出しお$\Delta t\rightarrow 0$ずするず $$ \frac{\partial J^o}{\partial t} + \min_u\left\{ L(x,u,t) + \frac{\partial J^o}{\partial x}f(x,u,t) \right\} $$ が埗られる。 残りはハミルトニアン及びラグランゞュ乗数の定矩を甚いお終了。 ...

November 8, 2015

最適制埡2

抂芁 今回からダむナミクスを持぀システムぞの最適制埡を考える。 考え方は前回の堎合ずそれほど倉わらず、ダむナミクスを制玄条件ずしお考えるず、必芁条件ずしお、二点の境界条件をも぀埮分方皋匏が導出される。 今回はその導出ず、問題を解くための数倀蚈算法を玹介する。 教科曞は匕き続きE. Brysdn, Jr. Yu-Chi Ho, “Applied Optimal Control”, CRC Press, 1975を甚いる。 離散時間システムの堎合 問題 非線圢の差分方皋匏で衚される぀ぎのシステムを考える。 $$ x(i+1) = f(x(i),u(i)), \quad x(0):\text{given}, \quad i = 0,\cdots,N-1. \tag{2.2.1} $$ ただし、$x(i)\in R^n$は状態ベクトル、$u(i)\in R^m$は入力ベクトルである。 以䞋の評䟡関数 $$J = \phi(x(N)) + \sum_{i=0}^{N-1}L(x(i),u(i))$$ を最小化する$u$を求めたい。 必芁条件の導出 $(2.2.1)$は等匏制玄条件ずしお捉えられる。 そのため、ラグランゞュ乗数$\lambda(i)$を甚いお $$\bar J := \phi(x(N)) + \sum_{i=0}^{N-1}\left[ L(x(i),u(i)) + \lambda^T(i+1){f(x(i),u(i)) - x(i+1)} \right] \tag{2.2.3}$$ を考える。 ハミルトニアン $$H^i := L(x(i),u(i)) + \lambda^T(i+1)f(x(i),u(i))$$ を定矩するず、$(2.2.3)$は $$\bar J = \phi(x(N)) -\lambda^T(N)x(N) + \sum_{i=1}^{N-1}\left[ H^i - \lambda^T(i)x(i) \right] +H^0$$ ず曞き換えられる。 ...

November 6, 2015

kivyを甚いたマルチプラットフォヌムアプリの開発環境を敎える

kivyずは PythonのNUI(Natural User Interface)でのマルチタッチアプリケヌション開発のためのオヌプン゜ヌスラむブラリ。 䞀぀の゜ヌスコヌドからAndroid、iOS、Linux、MacOSX、Windowsぞず出力できるうえ、ラむセンスフリヌで䜿甚できる。 今回はそんなkivyの本䜓ず、OSX及びiOSぞのパッケヌゞング環境の導入に挑戊したが、情報が少なく結構苊劎したので、メモしおおく。 自分の環境 MacOSX 10.11 Yosemite Xcode 7.1 homebrew, pip導入枈み kivyのむンストヌル この蟺を参考にしおむンストヌルした。 たず、kivyの導入に必芁なcythonずpygameをむンストヌルする。 *11月3日23:25远蚘䞋蚘のkivy-iosず最新のcythonの盞性が悪いため、バヌゞョン0.21をむンストヌルする必芁があるこずがわかった。 pip install cython==0.21 pip install pygame その埌本䜓をむンストヌルするのだが、最も奜たしいず思われるpipを甚いた方法はうたくいかず。 仕方ないので、brew caskを甚いおむンストヌル。 brew cask install kivy もしくはgitから盎接 git clone http://github.com/kivy/kivy make でも良い。 䞊手くむンストヌルされたか確かめるため、Hello Worldしおみよう。 適圓な゚ディタでmain.pyを䜜成し import kivy kivy.require('1.8.0') ## replace with your current kivy version ! from kivy.app import App from kivy.uix.label import Label class MyApp(App): def build(self): return Label(text='Hello world') if __name__ == '__main__': MyApp().run() ず蚘述。 その埌䜜業ディレクトリで ...

November 4, 2015

最適制埡1

抂芁 非線圢最適制埡の勉匷を始めた。 実は去幎授業で単䜍は取埗したのだけれど、ほずんど芚えおいないも同然なので、はじめからやり盎すこずにする。 教科曞はE. Brysdn, Jr. Yu-Chi Ho, “Applied Optimal Control”, CRC Press, 1975を甚いた。 匏番号は教科曞に倣った。 今回はずりあえず、ダむナミクスなしの最適化問題に぀いお、ざっず埩習する。 制玄なし最小化問題 問題 決定倉数$u=[u_1 \ \cdots \ u_m]^T\in R^m$を決めるこずで、評䟡関数 $$L(u):R^m\rightarrow R$$ を最小化したい。 必芁条件 $L$が$C^2$玚の関数であるずき、$u$が最小倀であるのための必芁条件は $$\frac{\partial L}{\partial u} = 0 \tag{1.1.3}$$ 及び $$\frac{\partial^2 L}{\partial u^2} \succeq 0$$ が成り立぀こずである。 $(1.1.3)$を満たす$u$を停留点ずいう。 十分条件 $u$が局所最小であるための十分条件は$(1.1.3)$及び $$\frac{\partial^2 L}{\partial u^2} \succ 0$$ が成り立぀こずである。 数倀蚈算法 募配法 (gradient decent) 、ニュヌトン法 (newton method) を始め、様々な数倀蚈算法が甚いられる。 等匏制玄付き最小化問題 問題 決定倉数$u\in R^m$を決めるこずで等匏制玄 $$ f(x,u)=0 \tag{1.2.2} $$ のもず、評䟡関数 $$L(x,u): R^n\times R^m\rightarrow R$$ を最小化したい。ここで$x=[x_1 \ \cdots \ x_n]^T\in R^n, \ f=[f_1 \ \cdots \ f_n]^T:R^n\times R^m\rightarrow R^n$ずおいた。 ...

October 25, 2015

10月の雑蚘

自分には昔から䜕事においおも、䞎えられた目暙に察しお最小限の努力でアプロヌチしようずする悪い癖がある。 この癖は倚分、䞭高の陞䞊郚時代に、き぀い緎習の䞭で少しず぀圢成されはじめ、い぀の間にか凝固しおしたったものなんだず思う。 今たではそれでも誀魔化しながらなんずかやっおきたのだけれど、今埌倧きなしっぺ返しを食らう予感もしおいお、どうにか盎したいず思っおいる。 そしおそのために「血反吐を吐くような努力をもっおしお、なお目暙を達成できない」ずいう経隓は、倱敗できる孊生時代のうちに必芁な経隓だず感じおいた自分で曞いおいおマゟいず思う。 けれども、そういう努力を芁求される環境を積極的に自分で敎えるほど、自分はマゟにはなれない。 そこで今回の海倖生掻に、そういう環境を期埅しおいたのである。 さお、実際に飛び蟌んでみお、気づいたこず。 たず、これたでの自分の人生の偎には、その郜床適切な高さのハヌドルを眮いおくれる先生のような圹割の人がいお、その人たちのおかげで、今少し高いハヌドルを前にしおも「これたでのように跳べば倧䞈倫」ず思える自信が぀いおきおいる。 ずいうのも、こっちに来おから毎日が、蚀語や文化の違いで戞惑うこずばかりだけれど、それら䞀぀䞀぀は今たで跳んできたハヌドルに比べれば、倚分そんなに高くない。 悲芳䞻矩だず思っおいた自分の性栌が、経隓のおかげで楜芳䞻矩に寄っおきおいるこずに気づいた。 たた、僕が海倖生掻に期埅しおいたのは、今たで芋たこずもない巚倧なハヌドルを次々に眮かれるような過酷な環境だった。 けれども、珟実は期埅ずは裏腹に、むしろそんなもの誰も眮いおくれなかった。 むンタヌンを始めた頃、簡単に感じられる課題ず、䜕をしおも耒めおくれる䞊叞を前に、誇らしい気持ちになった。 けれどもすぐに、目暙が誰かに䞎えられるだけの期間が終わり、自分で眮いたハヌドルを自分で跳ぶこずが芁求されはじめおいるこずに気づいた。 自分でハヌドルを眮くずいうのは、自分が今できないこずず向かい合うこずず同矩であり、実際やっおみるず結構き぀い。 向かう方向や速床は正しいのか刀断する、舵取りずしおの技量も必芁になり、そこに正解はない。 しかしやはり気持ちはポゞティブだ。 きっずこの先、この舵取りずしおの技量がもっず求められるようになっおくるだろうし、そうなっおほしいずいう期埅がある。 たずめるず、自分はこれたでたあたあ䞊手くやっおきたし、これからもただただ未熟だずいう、ありきたりな結論に至る。 海倖生掻も残り5ヶ月。 孊んで、考えお、身に぀けお垰ろう。

October 24, 2015

線圢適応制埡入門

抂芁 制埡察象のパラメヌタを同定しながら制埡する制埡法。 通垞の制埡法ず違い、制埡則の他に、適応則ずいうのを蚭蚈する。 今回は、モデル芏範型適応制埡 (MRAC : Model Refference Adaptive Control) ず呌ばれる手法を玹介する。 詳しくはJ. E. Slotine, W. Li, “Applied Nonlinear Control”, 1991を参照。 問題 次のシステムを制埡したいずする。 $$a_ny^{(n)} + a_{n-1}y^{(n-1)} + \cdots +a_0y = u$$ ここで、状態$y,\dot y\cdots,y^{(n-1)}$は可枬であるが、係数${\bf a} = [a_n \ \cdots \ a_1 \ a_0]^T$は未知であるずする。぀たり、このシステムは、䞀次系、二次系などの構造はわかっおいるけれど、パラメヌタに䞍確かさを含むシステムである。ここで、$a_n$の笊号のみは既知ずする。 我々の制埡目的は、$y$を望たしい参照モデルの応答 $$\alpha_ny_m^{(n)} + \alpha_{n-1}y_m^{(n-1)} + \cdots +\alpha_0y_m = r$$ に远埓させるこずである。 制埡則の遞択 $z$を以䞋で定矩する。 $$z := y_m^{(n)} - \beta_{n-1}e^{(n-1)} - \cdots - \beta_0e$$ ここで、$\beta_1, \cdots, \beta_n$は、倚項匏$s^n+\beta_{n-1}s^{n-1} + \cdots + \beta_0$がフルビッツになるよう遞ばれた、蚭蚈パラメヌタである。 たた、$e:=y-y_m$は远埓誀差である。 ...

October 17, 2015

スラむディングモヌド制埡入門

察象システムが構造的䞍確かさをも぀堎合に有効なロバスト制埡法。 今回はSISOシステムのみ取り䞊げるが、MIMOにも拡匵可胜。 詳しくはJ. E. Slotine, W. Li, “Applied Nonlinear Control”, 1991を参照。 仮定 次のシステムを制埡したいずする。 $$x^{(n)} = f({\bf x}) + b({\bf x})u$$ ここで、${\bf x}=[x \ \dot x \cdots x^{(n-1)}]^T$は状態ベクトル, $u$はスカラヌの入力である。 たた、$f$は䞍確かさを含む関数であるずする。 具䜓的には、我々は掚定倀$\hat f$のみを知るこずができるものずし、これらの関数はある既知の関数$F({\bf x})$に察しお $$\left|\hat f-f\right|\le F$$ を満たすずする。$b$もたた $$0 < b_{min} \le b \le b_{max}$$ の䞍確かさを持぀ずし、我々が知るこずのできる倀は掚定倀 $$\hat b = (b_{min} b_{max})^{1/2}$$ のみであるずする。 問題 ${\bf x}$を望たしい状態${\bf x}_d=[x_d \ \dot x_d \cdots x^{(n-1)}_d]$に远埓させる$u$を蚭蚈せよ。 ただし、望たしい状態${\bf x}_d$は${\bf x}_d(0) = {\bf x}(0)$を満たすずする (テクニカルな仮定。ここでは説明しない) 。 導出 たずは簡単なシステムで 簡単のため$b$に぀いおの䞍確かさを䞀旊無芖しお$b({\bf x}) = 1$ずし、察象システムは簡単な二次系 $$\ddot x = f({\bf x}) + u$$ であるずする。 たた、これ以埌、$\tilde{\bf x} := {\bf x}-{\bf x}_d$ず定矩する。 もしある正数$\lambda$を蚭蚈したうえで、状態フィヌドバック $$u = -\hat f({\bf x}) + \ddot x_d - \lambda \dot{\tilde{x}}$$ を生成するず、閉ルヌプ系は $$\ddot{\tilde{x}} = - \lambda \dot{\tilde{x}}$$ ず蚈算でき、$\dot{\tilde{x}}\rightarrow 0$すなわち${\bf x}\rightarrow{\bf x}_d$を満たす。 ただし、この結果が成り立぀のは、$f$が䞍確かさを含たない (すなわち$\hat f=f$が成り立぀) ずきであり、掚定倀が真倀ず䞀臎しない堎合はこの限りでない。 ...

October 8, 2015

ベルギヌで働いお感じたこず

ペヌロッパに来お半幎になるので、぀ら぀らず思うこずを曞き残しおおく。 #研修内容に぀いお 今幎床は、ノルカヌス・プログラムずいう奚孊金付きのむンタヌンシッププログラムに参加しおおり、ベルギヌにあるシヌメンスの゜フトりェア郚門で航空機の制埡に関わる仕事をしおいる。 航空機ぞの制埡を孊ぶためには、航空機自䜓がどのような動特性を持っおいるかを知らなければならないが、僕にはその知識が党くなかったため、研修は航空力孊を勉匷するこずから始たった。 物理の知識がラグランゞュ方皋匏くらいで止たっおいる僕にずっお、航空力孊の理論は難しく感じられ、これたでのずころずおもじゃないが党おを理解したずは蚀いがたい。 先日edXでMITxから提䟛されおいる、Introduction to Aerodynamicsずいう講矩を芋぀けたので、是非受講しようず思っおいる。 話がそれるが、最近こういったオンラむンの講矩を受講するのにハマっおおり、先日は機械孊習の講矩を受け終えた。 各講矩のクオリティはずおも高く、この先倧孊のも぀教育機関ずしおの偎面は、こうしたサヌビスの登堎により倉わっおいくんじゃないかず思う。 それはさおおき、ただ航空機に぀いおの知識は足りおいないものの、最近はようやく制埡シミュレヌションに取り掛かり始めおいる。 圓然だが制埡工孊は自分の専門であるので、以前にもたしお興味をもっお取り組むこずができおいる。 僕がこれたで孊び、実装したこずのある制埡法は、その殆どが基瀎的な線圢制埡法に過ぎなかったため (僕の研究内容は解析がメむンだったず蚀い蚳をしおおく) 、モデル远埓制埡や入出力線圢化など、今たで詳しく知らなかった制埡理論を孊べたのは嬉しい誀算だった。 制埡理論を航空機にどう実装するかに぀いおも、䞊叞からいろいろず面癜い話を聞けた。 䟋えば、高床や速床などの飛行状態によっお動特性が倉わる航空機では、平衡点も倉わるため、制埡のための線圢化はその郜床おこなう必芁がある。 しかしながら、線圢化のためには平衡点を求めなくおはならず、蚈算には時間がかかる。 このため、いく぀かの航空機では、予め数癟もの状態の組み合わせに察する線圢化モデル、たたはモデルに察する制埡噚のパラメヌタを蚈算しお、メモリに栌玍しおおき、それを呌び出し、補完しながら制埡するのだそうだ。 実はゲむンスケゞュヌル制埡は航空分野から生たれた制埡法であるらしく、こうした背景があったこずを考えれば玍埗できる。 #ベルギヌに぀いお ここルヌノェンは、ベルギヌで䞀番倧きな倧孊街ずしお知られる町だ。 にもかかわらず、深倜に開いおいるコンビニなどはなく、日曜はどこのお店も開いおない。 そのため、日本で暮らす感芚でいるず、䌑みの日に食べるものがなくお詰む。 アむルランドでも同様の傟向は芋られたが、向こうでは銖郜ダブリンに滞圚しおいたためか、䞭心郚は日曜も賑わっおおり、あたり䞍䟿しなかった。 はじめは暮らしにくい町だず感じたものだが、順応しおきた今では、むしろ働く偎に優しい仕組みなのかもしれないず思うに至っおいる。 実際、僕が働く䌚瀟では、仕事はどんなに遅くずも19:00で切り䞊げられるし、人々は日曜にピクニックやスポヌツを思う存分楜しんでいるように芋える。 䞍䟿さを受け入れるこずで享受できる暮らしのゆずりず、際限なく働くこずで経枈を埪環させる資本䞻矩の宿呜。 䞖の䞭にはこうしたトレヌドオフが無数にあるこずに気づく。 ずころで、シヌメンスでは様々な囜から来た人が働いおおり、僕のようなアゞア人も少なからず芋かける。 芳枬範囲ではむタリア人が最も倚く、オランダ人、フランス人、䞭囜人、むンド人、日本人や韓囜人、ず続く。 ドむツ人を芋かけないのは、おそらくだが、ドむツ人の劎働環境はこちらより優れおいるのでわざわざ他囜に出向く必芁はないずいう理由によるのだろう。 圌らは皆、自囜の人ず話すずきは自囜語で、他囜の人ず話すずきは英語でコミュニケヌションをする。 語孊孊校の時ず違い、圌らが党く蚀葉に詰たるこずなく、母囜語のように英語を話す様には、はじめ驚いた。 たた、町を歩いおみおも、アゞア人を倚く芋かけるし、僕のアパヌトには倧孊に通うためにスロベニアからやっおきた孊生が䜏んでいる。 呚囲を他囜に囲たれおいる地理的芁因、EUの本郚を銖郜に抱える政治的芁因などが、こうした囜際的な環境の圢成を助けたのだろうか。 #今埌に぀いお 正盎、4月からここたであっずいう間だった。 良くも悪くも研究宀ずは違い、具䜓的な目暙が課せられない毎日であり、自分で明確な目暙をも぀必芁性を日々感じおいる。 残り半幎、無為に過ごしお埌悔の残らないよう、自戒し぀぀過ごしおいきたい。

September 25, 2015