研究者の皆さんは,論文を作成するときにIllustratorなどのベクターイメージ編集ソフトを使っていることと存じます. しかしながら,こうしたソフトは一般に有償であり,学生には手が届かないもの. 中にはInkscapeなどのフリーソフトもあるため,そちらを使っている方もいるかもしれません(僕も少し前までこの方法でした). 今回僕が紹介する手法は,皆さんおなじみのPowerPointやKeynoteなどのプレゼンテーションソフトを使う方法です.
本手法には,
- ほとんどどのPCにもビルドインされているプレゼンソフトを使って作図できる(もちろんベクター画像として)
- 作成した図をそのままプレゼンの素材として流用できる
- プレゼンソフトの拡張機能を用いて,LaTeXコードで書かれた数式を自由に挿入・変更できる
などのメリットがあります.
さて,本題の方法ですが,至ってシンプルです. 今回はPowerPointで説明します.
PowerPointを起動し,最もシンプルな白背景のテンプレートから新規ファイルを作成します
「デザイン」タブの「スライドのサイズ」から,スライドの縦横比を描きたい図に合わせて望ましいものに変更します
白紙のスライドに,図形ツールなどを使って図を作成します
新しい図は,スライドを改めて作成します
図を全て描き終わったら,「ファイル」からPDFとしてエクスポートします
LaTeXのソースコードで図を読み込むとき
\begin{figure}[t] \centering \includegraphics[page=1,width=60mm]{figure.pdf} \caption{An example. } \end{figure}
というように,
page=
のオプションを用いることで,表示したい図に対応するページ番号を指定しますLaTeXコードをコンパイルします
…という感じです.
この方法ですと,作成した図を一つのPDFファイルにまとめることができ,ディレクトリがすっきりするのも嬉しいポイントです. ただ,論文に挿入する図ごとに縦横比が大きく異なる際は,別の.pptxファイルを用意しなければいけませんので,注意が必要です.
また,PowerPointの場合,IquanaTeXというマクロを使えば,任意のLaTeXコードをベクター画像として生成・編集できますし,Keynoteの場合,MacTeXに最初から付属しているLaTeXitを用いれば自由に数式を挿入できます.
また,もしMatlabの図を使いたい場合,Matlabのプロットが表示されているウィンドウから「編集」→「Figureのコピー」を選んで,そのまま貼り付ければちゃんとベクター画像として処理してくれます.
この方法を編み出してから,めんどくさい作図にかかる時間を短縮することができるようになりました. 読者の皆さんにも自信をもっておすすめします.