研究の進捗
10月は文献調査、研究テーマの具体化、先行研究の再現実験を進めた。着任前は大まかな研究の方向性のみを決めるに留まっていたため、改めて研究課題を整理し、重要でありながら未解決のトピックを特定できた。文献調査で把握した既存研究Aと既存研究Bを組み合わせれば解決の糸口になると考えている。
まず両手法の再現実験に着手し、研究Aについては概ね順調に再現を完了した。一方で研究Bでは数値計算が安定せず、引き続き作業を継続する予定である。より高いインパクトを目指すため、単純な併用だけでなく、両手法を相互補完的に発展させる拡張案を検討する必要がある。
また、私の過去研究をベースに、手法を拡張したいという博士課程の学生から協力の打診を受けた。彼が得意とする数値計算手法を私の定式化した問題へ適用する形で共同研究を進める予定で、11月から定例打合せを始める。議論を通じた相互発展に期待している。
研究室での活動としては、週に一度程度、不定期で指導教員との打合せがある。加えて金曜日には論文紹介や研究相談など自由に議論できる定例会が開催される。居室は学生室とは別室を割り当てていただき、現在は私と同じく客員で滞在している教授の方と二人で使用している。指導教員とは別室のため、日常的に最も会話する相手はこの教授となっており、当初の想定とは異なるものの、非常に良い研究交流の機会になっている。
これらの件とは別に、出国前に投稿していた論文2本の結果が続々と返ってきて、どちらも残念ながらリジェクトだった。 このうち1本は査読に丸2年を要していたにもかかわらず、レビュワー1人のあっさりとしたコメントのみで判断され、結構ショックだった。 11月にそれぞれの論文の共著者と作戦会議を練る予定。 幸い本業は時間に融通が利くので、なすべきことを冷静に進めていけば、再投稿に漕ぎつけられると信じたい。
子の現地校生活
10月より、子どもが現地小学校に入学した。エージェントの方によると、申し込みから受理までの期間が非常に短く、運が良い事例とのこと。同学年の日本人保護者からは3ヶ月待った例も聞いている。
入学後は大きなトラブルもなく通学しているものの、本人からは新しい環境への戸惑いが見られる。主な理由は以下の3点だと思う:
- 日本での友達に会えなくなったことによる寂しさ。幸いクラス内に日本人児童が数名いるため、時間とともに新しい交友関係が育つことを期待している。
- 保育園から小学校への移行に伴う生活リズムと学習習慣の変化。毎日、英語(Phonics)や算数(一桁の加減算)など、これまで本格的に取り組んでこなかった宿題が出され、やや負担が大きい様子である。
- 学習および生活言語が英語へ切り替わったことへの困難。とはいえ子どもの言語習得能力は高く、時間とともに適応が進むと考えている。一方で英語環境に偏りすぎることで帰国後の日本語力低下が懸念されるため、週末に日本語補習校へ通うことを検討している。
医療・手続きメモ
妻の歯の詰め物が脱落したため、NHSは受診まで時間を要することから、会社加入の海外医療保険を利用して民間の歯科医院を受診した。診療費は300 GBPだった。しかし術後に保険規約を確認したところ、詰め物の脱落は補償対象外であることが判明した。治療前に保険適用範囲を十分に確認する重要性を痛感した。